保育所・幼稚園における「育てにくさ」への対応(10)

具体的に気になる子どもの「育てにくさ」への支援を展開するための留意点というのは、レジュメのほうにも書かせていただいていますが、後でまた事例ごとにご紹介したいと思います。

お子さんを見立てる際に、実は、子ども自体が育てにくいなと親御さんも先生も感じた場合に、理解がうまくできていないのかなというのと、行動のコントロールがうまくできていないのかなというのと、どちらかだったりすることが多いんですね。もちろん、中にはどっちもというお子さんもいらっしゃいます。でも、どちらかというと、行動のコントロールのほうがうまくないからこんなにうまくやれていないんだなということが強かったり、「いや、あんまりわかってないよね。周りのこととかが見えていないよね」というようなこともあったりするので、どっちなのだろうということを見きわめていただくことも大事なのではないか。

理解の問題であれば、わかりやすく提示していく。行動コントロールの問題であれば実は時間がかかりますが、繰り返しつき合ってあげたりしながら、「こうやるといいよね」「我慢できて偉かったよね」というように、寄り添っていくのが必要になってくるということです。育てにくいお子さんに対して、個別に対応をいろいろ考える計画書をつくっていく際に、支援目標は、あれもこれもではなく、よくお願いしているのは、すぐにできることを1つ。困っていること、先生方が困っていることでも結構です、目標を1個ないし2個、具体的につくって、それに向けてどうしようこうしようと。あの場面でも、この場面でも、これもあれもといっぱい出てくるお子さんが多いですけれども、実は全部はやれませんので、1つに絞っていただくことが大事かなと思います。