保育所・幼稚園における「育てにくさ」への対応(8)

情緒的な問題のほうは、いわゆる環境的な要因によって引き起こされてくる、精神疾患ですとか精神障害というものにつながっていきますが、決して幼児期や小学生の時期に出ないかというと、最近のお子さんたちはそうでもないんですね。診断が明確になされるわけではありませんが、こういった症状やこういった現象は、結構幼児でも示したりします。だから、上にある発達障害の問題と下のほうにある情緒的な問題というのが二通りあるんですよということを、先生方にも改めて認識しておいていただけるといいかなと思います。

私は発達障害のほうが専門ですが、どうしても問題行動や奇妙な行動があると、全て「発達障害かな、あの子」というふうになりがちですけれども、そうではないお子さんもやはり中にはいらっしゃるわけです。

いろんな原因で育てにくさがあり、そして、ここに書いてあるような、感情のコントロールがうまくないとか、多動性・衝動性があるとか、こだわりの過敏さがある、表現力が未熟だ、状況理解が弱いなんていうことがあるわけですけれども、これは実際には発達障害のほうから整理しますと、こういうふうにADHD的症状、または自閉症スペクトラム的症状。「的」という言葉を使っていますが、明確に診断されるお子さんばかりではありませんし、やはり診断なされるのは病院ですから、保育の現場で、こういう症状があるな、じゃあそれに対してはどう対応していけばいいかな、ということは整理していかなくてはいけないので、やはりこの「的」な症状に対しては、何が効果があるかということを考えていただけるといいのではないかということです。ある程度はっきりした対応の仕方というのが、今、保育の現場でもいろいろ出されているかなと思います。

学習・社会的場面での問題を引きおこす6つの発達的・行動的つまずき