〝遊び込む経験〟と〝よくする遊び〟の変化

ベネッセ教育総合研究所(2016)(1)は、卒園前の年長児に関する遊びの調査で、「園で自由に遊べる時間や場所、遊具や素材があるなど、自由に遊べる環境が充実しているほど、年長児の〝遊び込む経験〟が多くなる」「保育者が子どもの〝やりたい〟気持ちを尊重しているなど、受容的に関わっているほど、年長児の〝遊び込む経験〟が多くなる」「〝遊び込む経験〟と、友だちとの〝協同的な活動〟の経験の多さは関連している」「〝遊び込む経験〟が多い年長児ほど、学びに向かう力は高い」と報告しています。

また、保護者を対象とした「幼児の生活アンケート」の結果(ベネッセ教育総合研究所、2015)(2)、子どもがよくする遊びとして、20年前(1995年頃)に比べて増加しているのは「公園の遊具(すべり台・ブランコなど)」「積木・ブロック」「人形遊び・ままごと(ごっこ遊び)」などでした。一方、1995~2005年の調査にかけて増加したが、その後の10年(近年)は減少傾向にあったのが「自転車・一輪車・三輪車」「砂場(どろんこ遊び)」でした。一緒に遊ぶ人として、20年間で母親が31ポイント増加していました。逆に、友だちが29ポイント、きょうだいが11ポイント減少していました。こうした園以外の生活も含めて、子どもの遊びを考えていく必要があります。

文献

  1. (1)ベネッセ教育総合研究所(2016):園での経験と幼児の成長に関する調査―卒園前の年長児をもつ保護者を対象に―.
  2. (2)ベネッセ教育総合研究所(2015):第5回幼児の生活アンケート.
  3. (3)カイヨワ(多田道太郎・塚崎幹夫訳)(1971):遊びと人間(増補改訂版).講談社.
  4. (4)加藤泰彦・他(2007):子どもの遊びと発達1―ピアジェの構成論と物と関わる遊び.大学教育出版.
  5. (5)河崎道夫(編)(1983):子どもの遊びと発達.ひとなる書房.
  6. (6)枡千晶・橋本創一(2016):インクルーシブ保育における特別な支援を要する子どもの活動参加に関する調査報告―参加可能な遊びに着目して―.小児保健研究、75(4).
  7. (7)日本小児科保健協会(2011):幼児健康度に関する継続的比較研究.平成22年度厚生労働省科学研究費補助金成育疾患等次世代育成基盤研究事業.
  8. (8)ピアジェ・他(赤塚徳郎・森楙監訳)(2000):遊びと発達の心理学.黎明書房.
  9. (9)仙田満(2009):こどものあそび環境.鹿島出版会.