4.総合討論(8)

前川まだ質問が残っていますね。

古野はい。質問はまだたくさんあるのですが、「スマホなどがないときにどうやって過ごすか」というお話で、その一つが、子どもを観察するということでした。それから、先ほどの床に置いて育てる種族なんだということにもつながりますが、子どもというのは、ずっとかまっていなければいけないという存在ではないのです。赤ちゃんでもひとりで遊んでいる時間が多いということを、皆さん方が上手に親御さんに伝えることが必要です。観察していると、それがわかるんですね。赤ちゃんがこんな状態のときは楽しんでいるときで、そのときは触らないほうがいい。そうすると、結構自分で遊んでいる時間があります。まずそれを見つけてもらうことです。

それでも、かまってと言ってくるタイミングがあります。その「かまって」のときにどうするか。「かまって」のときは、本当に100%かまう。特に2歳とか3歳とか、ある程度大きい子だったら、「かまって」と言ってきたときはちゃんとかまって、言いたいことをちゃんと聞いて、同意して、共感してあげたら、大体1分ぐらいで離れていきます。

子どもがそれだけ遊び込めるような遊びを準備しておいてあげるとよいということです。質問の中に、「では、どんな遊びが遊び込める遊びですか」ということが書いてありました。これは私より皆様のほうが詳しいのではないかと思います。子どもが一人で黙々とやりたがるような遊びを、ちょっと保育の現場の中で思い出してみてください。何かを引っ張るとか、何かを積んだり壊したりとか、そういうことが好きですね。

台所に行って戸袋をあけて皿を1枚ずつ引っ張り出すとか、ティッシュを全部こうやって引っ張り出すとか、私はどうしてもそういうことしか思いつかないのですが、あれ、すごく楽しそうにやりますよね。その類いです。あと、もう少し大きくなってくると、グニュグニュ指で操作する類のものだとか、その辺は、すみません、私よりも皆様のほうがお詳しいかなと思います。

ポイントは、そうやって子どもがはまり込む遊びさえあれば、子どもはどんどんそっちのほうで一人で遊ぶ時間が長くなりますから、そんなしょっちゅうかまっていなくてもいい。むしろかまいすぎるほうが、子どもの発達にとってはあまりよろしくないということを、皆さん方がきちんと伝えてくださればと思います。

村田私宛に、「バーチャルリアリティが、現実の世界になってしまう。それがもし定着すると、どういう状況が一番マイナスの影響と考えられるか」という質問をいただいています。共通していろいろな研究が言っていることは、自分の安易な世界に逃げ込んでしまうということです。全て自分の考えていること、自分のしようとしていること、それを受け入れてくれる世界へ入り込んでしまうという、一番大きな問題が出てくると思います。要するに、反対するということに対して対応しない。反対は避けてしまうわけです。逃げてしまうと言ってもいいのですが、自分の考えを肯定する、そういう世界でだけ生活する、そういう状況が生まれてしまって、これがスマホ依存症であるとか、そういう形の基本的な問題ではないかと思います。

そういう世界に入り込んでしまうと、今度は現実の生活ができなくなってしまうということで、それがひどくなると大変大きな問題になります。中国や韓国では大問題になっていますが、まだ我が国ではそれほど大きな問題にはなっていません。中国なんかは、問題があるとすぐ強制入院までさせます。そういう状況も醸し出していまして、まだまだ我が国ではそういう状況になっていませんが、自分だけを受け入れてくれる世界の中に生活するようになることが一番大きな問題だと思います。