1.触れ合いの子育ての実際(1)

子どもは、触れ合いにより育つと言われております。最初に、「触れ合いにより育つ」という子どもが育つ原則について述べ、その後、保育園や幼稚園におけるスマホ育児の親たちの子どもへの対応。後半に、それらの親御さんたちにいかに育児をしていただくか、スマホ育児の親御さんたちに原点に返って育児をしていただくか、ということについて述べてみたいと思います。スマホを使っていますと、目と愛着形成に影響を与えます。

スマホ子育てをやめて触れ合い子育てを実践しましょう、というのが私の講演のテーマです。

お産する前の母親には、子どもを「育てる力」が、お腹の中の赤ちゃんには「育つ力」が遺伝的に組み込まれておりますが、お産しただけではスイッチが入らないようにできております。

肯定的妊娠、自分が望んだ妊娠とか、周囲に支援する人がいるお母さんたちは、お産の後、同調する能力にスイッチが入ります。同調する能力にスイッチが入りますと、赤ちゃんが泣くと、抱いたり、おむつを替えたり、母乳を与えたり、いろいろなことをして赤ちゃんを泣きやまらせ、赤ちゃんを「快」の快い状態にいたします。

この反復により赤ちゃんは、自分は守られている、安全だ、母親は信頼ができると、人に対する信頼感が芽生えます。これが、子どもの心が育つ第一歩であります。

それから後は、赤ちゃんが出すサインに母親が応え、母親が出すサインに赤ちゃんが応えます。このお互いの生身の触れ合いによって、赤ちゃんは子どもらしく、お母さんはお母さんらしく育っていきます。これを、いわゆる「母子相互作用」と言います。

生身の触れ合いというのは、赤ちゃんが笑うとお母さんも声をかけたり、声を出すとそれに応えたり、お母さんが声を出すと赤ちゃんが応えるとか、お互いに影響し合って、赤ちゃんらしく、あるいは母親らしく、だんだんと成長していくわけでございます。

母子相互作用とお互いの触れ合いによって、しばらくしますと、赤ちゃんと特定の人の間に情愛の絆が形成されます。これを愛着(アタッチメント)の形成と呼んでいるわけでございます。

アタッチメントが形成されますと、これは子どもの安全基地で、人に対する信頼感をもとにして、しつけ(自律性)や自発性(失敗してもくじけず挑戦して自分のものにしていく)などの発達が順調に行われます。そして、自尊感情が芽生え、肯定的な人生を過ごすことができるわけです。

スマホ子育ては、子どもが出すサインに母親が的確に対応しておりませんので、愛着形成に障害を与えます。子どもは「育つ力」を持っておりますが、これを育てるのはお母さんであります。これは、ちょうど花や植木などに例えられます。花や植木は育つ力を持っていますが、これに水をやったり、日当たりのよいところへ置いたりするのは、お母さんだからでございます。この理屈をご理解ください。

最初に、スマホ子育ての園における対応について述べ、これと並行して家庭における対応についてお話をいたします。