2.ホントはやめたい! スマホ子育て(4)

子どもネット研の調査では、乳幼児のスマホ利用に不安を感じている保護者が実は94%います。だから、「自信を持って」と言うとおかしいですが、自分から積極的に使わせている方というのは実はそんなに多くない。9割以上の保護者の皆さんが「何かしら不安」と思って使わせているということが、データとしても出てきています。

それは恐らく、実際の生活の中で実感があるからだと思います。スマホやゲームに頼れば頼るほど、育児はどんどん大変になっていくんだ、という。

これは、私たち子どもとメディアが2015年に調査したデータです【表2】。小児科医の先生方に協力していただいて、1歳半健診のときにアンケートを取りました。1歳半の子どもがスマホ、タブレットに依存しているよという状態を何とか調べたかった。でも、そういう基準はないんですね。したがって、私たちが「これだったらどうかな」というふうに考えたのが、「スマホ、タブレットを使いたがったり、取り上げたりすると嫌がりますか」。すごく使いたがるとか、取り上げると嫌がるという頻度を答えてもらったわけです。

表2 ※NPO 法人子どもとメディア2015年は発表「乳幼児のメディア接触状況について調査」

「いつも使いたがる」「いつも嫌がる」というのが赤()です。「しばしば嫌がる」というのがオレンジ()。「ときどき」が黄色()。「あまりしたがらない」「嫌がりません」が緑()。「全く」というのが水色()というふうにこのグラフは色分けをしてあります。

棒グラフが4本ありますが、右の端っこは全く使わない家庭の場合です。全く使わない場合には、例えば、いつもやりたがるとか、しばしばやりたがるというのは、足しても1割です。それが、「ごくたまに」、例えば月に1回とか、週に1回使わせると、この赤とオレンジを足して4分の1(26%)になります。

これが「週に2~3回」使わせるようになると、もう5割を超します。「ほぼ毎日」使わせると7割いってしまいます。つまり、使う頻度が上がれば上がるほどどんどん子どもたちはやめなくなっていく、あるいは、使いたがるようになっていくということが、このデータから読み取れるのではないでしょうか。

つまり、乳幼児はもともと我慢するという力がないわけです。まだ全然育っていないです。だから、「子どもたちが使いたがるとき」、さっきの理由の2番目でしたね。あるいは、「子どもが騒ぐとき」と、これも理由の上位でしたけれども、そのときにときどき使わせる。そうすると、子どもはまた使いたがります。親は、使いたがったからといってまた使わせるわけです。そうやって使用頻度が増えていく。

先ほどのグラフで見ていただいたように、子どもの抵抗が強くなってきます。抵抗が強くなりますから、ますます親は取り上げるのが難しくなってくる。それでやめさせられなくなる。長時間、毎日使うようになる。そのうち、これは実際にある保育園に聞いた話ですけれども、「子どもがあまりに私のスマホを手放さないので、私のスマホは子どもにあげてしまって、私は新しいのを買いました。もちろん、SIMカードは私のに差しているから、子どものはネットにはつながらないのです」というふうに言っている保護者もいらっしゃる。

実際、保育園とか、皆さんが日ごろかかわっている現場で、子どもが積み木をスマホに見立てて遊ぶなんていうのはごく当たり前の風景になっていますね。それぐらい子どもたちは使っているし、それぐらい依存状態になってきているということです。