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座談会「子どもの心を育てる」

正高普通そうなんですけど、今は、面と向かってしゃべるよりは、同じ会社におっても、同じ建物におっても、スカイプ使ってしゃべるほうがむしろ疲れないという感じがある。今の若い人は、そういう五感を刺激されることが疲れるんですよ。マルチチャンネルで刺激が来ると。だから、隣におるのにメールやスカイプでやるほうが疲れないと言いますね、今どきの人は。むしろそういうふうになってきちゃったというのが、今の嘆かわしい状態ではないかと思うんですよね。

『中央公論』の9月号に僕は「イクジイ批判」というのを書いているんですけど、今、〝イクジイ〟がいっぱいおるわけです。団塊世代は年金はあるし、時間は持て余していて、孫育てに一生懸命になっているじいさんがいっぱいおって、今、イクメンよりイクジイなんです(笑)。

一点だけ奇妙なところは、団塊の世代はカネもあって、時間も持て余して暇でも、よその子どもには興味がないんです。だから、ボランティアをすればいいんですよ。みんな暇やねんから、保育園へ行ってそれこそ語りをやるとか、よその子どもの世話をしたらいいんですけど、それは一切しないんですよ。日本のじいさんたちは。それで、自分と血のつながった、数少ない孫ばっかりかわいがることを考えているんです。それが悪循環やと思いますね。結果として、そういう刺激を受けたことのないままの子どもさんが大きくなる。そうすると、今どきの社会だと、五感を刺激されることが、ある程度の臨界年齢を超えるともう耐えられないような状態なんです。そうなっていると思いますね。

前川そうすると、今日のテーマは、さっき冨田先生が教育が間違っているとおっしゃいましたが、今は教育どころじゃなくて、それ以前の問題から入らなくてはいけないのでは、日本の国を憂えて、どういうふうにしたらいいかということで討論したほうが面白いですかね(笑)。子育ての出発点から狂っているみたいですよね。

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