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特集  「急変する社会環境から子どもの心を守る」
こども心身医療研究所所長 冨田 和巳



自尊心、表現・認知、対人関係の重要性


 人という字は「互いに支えあう」形になっており、人間は「人の間」と書くように、独りでは生きていけないことを示しています。
 多くの動物は共同体を作って生きており、高度な文明・文化をもつ人間では更に他への依存度が大きく、お互いが複数の相手と一緒に過ごし、協調するのが基本になります。最初は一対一の母子関係、すなわち二者関係に始まり、次に父親が加わる三者関係から、複数の人との関係に発展し、社会が形成されていきます。乳幼児期の非力な時代には親(特に母親)が支えてやらなければならないのは当然で、社会に出て行くと、一定の規範(法律はもちろん、それ以前に必要な躾や道徳)を守る必要があります。これらは一言で言えば、対人関係になり、それを支え育てるのが常識的な母性と父性で、単純化して言えば早期の母親の「盲目的な愛情」と二歳からの父親による「適切な躾」になります(ここでなぜ、二歳かは68号に詳しく述べています)。
 この大切な対人関係が子どもに芽生えるには「自尊心」と「情報(精神的刺激)の受け止め方(認知と言います)と表現力」が必要になり、これらは母親がいかに関わるかによって育てられ、社会環境が影響を与え、子どもの素因(素質・資質)が大きく関係していくのはもちろんです(68号で詳しく解説)。紹介した事件は共に「母親の存在」が乏しく、子育ての基本が抜け落ちた上に、父親の偏った考えが、躾を社会的視点よりも、個人的思い込みで、誤ってなされたといえるでしょう。これを更に悪い方向に進めたのが、10年前の事件では子どもの素因であり、昨年の事件では父親の病的異常さだったと思います。




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