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第二十四回 母子健康協会シンポジウム 保育におけることばの問題と対応
2 ことばの遅れと対応
神奈川県立保健福祉大学教授 前川 喜平



ことばの遅れの鑑別


 では、その鑑別をどうするかというと、表1(言葉の遅れの鑑別)を見てください。「正常」「難聴」「知恵遅れ」「自閉症」「脳性麻痺」と書いてあります。
(表1)
そうすると、「音に対する反応」というところで、普通は、音に対して振り向きます。難聴だと、音に対して振り向かない、聞こえないから。それから、知恵遅れだと、音に対する反応が時にあって時にないのです、それが大切なのです。呼んでも振り向かないけど、自分の好きなドラえもんの音がすると遠くから飛んでくるとかです。おやつが欲しいときは「おやつよ」と言うと飛んできたり。あとは一切無視するとか。そういうのは聞こえているんです。
 自閉症というのは、人や言葉に対して、特に興味がないから、音に対して鈍い。脳性麻痺は、あるものもあり、ないものもあるのです。
 次の「周囲に対する関心とか反応」は、普通はあって、難聴は目で見たことには、もし知恵が普通だったら、積極的に反応を示す。呼んでも振り向かないけど、そばに興味があるものがあったら、パーッと手を伸ばしてとる、親の顔をみると笑うとか。知恵遅れは、要するに、見たものにも関心が鈍い。すべてに反応が悪いのが知恵遅れです。だから、興味があるものを出したって取らないし、持っても遊ばないとかです。それが難聴と知恵遅れの相違です。
神奈川県立保健福祉大学教授 前川 喜平 自閉症は、自分の好きなことには熱中し同じような動作をしているけれども、一般的には鈍い。脳性麻痺は不定です。運動発達、歩くとか、お座り、難聴は普通です。
 それから知恵遅れは、重症度に比例して運動発達も遅れます。自閉症はほぼ正常で、脳性麻痺はもちろん遅れます。
 あとはアテトーゼとか、体が突っ張るとか、そういうことは、脳性麻痺しかないということです。
 言葉が発達する前の喃語だとか、「ウックン」、「アー」、「バッバッバー」、「ダッダッダー」だとか、いろいろ音があるでしょう。あれは、普通の子どもは普通に出るのだけど、難聴の子どもは、最初は出るけれども、フィードバックといって、自分の耳で聞いてさらに確認して、発達していくのです。ところが、耳が聞こえないから、しゃべったって聞こえないからつまらない。だから、だんだんと発語が減ってくるのです。それから、知恵遅れは大体発語が少ないです。
 自閉症は、同じようなことを言っているけど、コミュニケーションの道具としては、言葉は使えない。脳性麻痺も、一般に少ないということです。



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