4.総合討論(10)

前川僕のところに来ている質問で、「タッチケアを保育の中で取り入れたい」という質問が出ていますけれども、そんなことより、子どもの目を見て、それから、おむつをかえるときにさすってあげたり、抱っこしたり、そういうほうが自然にタッチケアに入れると思います。タッチケアというと、みんな、「じゃあ、一体方法がどうして?」と、なかなか実行できないんです。その前にまず、ふれあいの子育てをするというか、そういうのを実践されたらすんなり入れるんじゃないかと思うんです。

それから、僕たち人間は安らぎの癒しのシステムを持っています。現代人は子どもから大人まで生身の触れ合い不足で、健康を害している人が沢山おります。安らぎの癒しのシステムをいかに日常生活に取り入れるかが重要なのです。その一つが、瞑想でもいいし、ヨガでもいいし、一杯のお酒を飲むのもいい、タッチケアを行うのも役に立つということです。

ですから、さっき橋本先生がおっしゃったけど、タッチケアのふれあいというのは、お年寄りから子どもまで、今、日本で一番必要なことだということだけは知っておいてください。

吉永先生、ほかに何かありますか。

吉永タッチケア協会のことで言い忘れたのですが、タッチケア協会会員でなくても、マニュアルとDVDは購入できます。インターネットでタッチケア協会で検索していただいて、その中で啓発資材を見ていただければ、タッチケアのマニュアル、DVDが出てきます。

それから、いくつかこだわりの強い子はなかなか触れられないというご質問をいただいています。先ほど、老若男女、いつでもという話が出ました。タッチケアとして体に触れるのは、経験的には、4歳から始めようとするとなかなか難しい。難しいというのは、触れられないというわけではなく、大きな子になると、裸の体にさわるのを恥ずかしがったり、くすぐったがったりしますので、それより小さな子からのほうが始めやすい感じがします。

要は、裸の胸だとか、裸の背中に触れることが目的ではなくて、ふれあっているという実感を、触れるほうも触れられるほうも感じることが目的なので、肩もみだとか、ママが娘の髪の毛を三つ編みするだとか、息子の尻をポンとたたくとか、年齢や好みに合わせていろいろな方法があると思います。

よく来る質問としては、「アトピー性皮膚炎の子にどうしたらいいですか」という話が出ます。健常でない皮膚に刺激を与えるのはやめたほうがいいと思いますが、お薬を塗る時間、その塗り塗りタイムがふれあいに化ければ、タッチケアなんか要らないだろうというふうに思います。

だから、先ほどから「テクニック、そんなことよりも」という話が出ているように、ふれあって、気持ちよくて、「一緒にいるよ」ということがどう伝わるかということが目的なので、なかなか触れられない子には、指先から触れるだとか、握手をするだとか、お互いに手を合わせたりするような遊びをするだとか、それで十分だろうと思います。タッチケアというテクニックではなくても、一緒にいてふれあっているということを楽しむ時間があれば、それでいいだろうと考えています。