2.ふれあい保育の実際(7)

次の例を紹介します。この子は、保育園に来るといつもぼんやりしています。いつも活気がない。みんなが、絵本とか紙芝居を聞いているときに、部屋の隅をゴソゴソと歩き回ったり。しかし、だからといってお昼寝の時間に熟睡するかと思うと、そういうわけでもなく、鼻を鳴らしたり寝返りをしたりする。その子にタッチケアをしたそうです。そうすると、最初のときは15分ぐらいかかったのですけれども、「この子、こんなに熟睡したことないよね」というぐらい熟睡してくれたのです。そうして毎日毎日、タッチケアをしていると、熟睡するまでの時間がどんどん短くなっていきました。また熟睡してくれるせいか、園の活動にすごく積極的に参加してくれるようになったんです、と言われていました。

ほかの先生たちが、「それ何をやっているの? 私も自分の担当の子にしてみたい」という話になって、その園ではタッチケアがブームになっていくんですね。

元々、こだわりが強い子は、中には最初に抵抗する子もいますが、だんだんと受け入れていくようになります。みんな、お布団の中に入って、タッチケアが来るのを待っています。一人ずつやっていくので、待っている子もいます。パジャマに着替えてお布団の中でじーっと待っています。黙って待っているせいか、ちょっと触るとすぐ寝るらしいですね。中には、待ちくたびれて寝ている子もいるという。「お昼寝の時間が、すごく静かになったんですよ」ということでした。保育士たちは、「本当はお母さんにしてもらいたいよね」という話になってその園では「親子でタッチケア」というイベントになりました。私は、新生児センターで研究が始まったタッチケアだけれど、幼児対象も面白いなあと思いました。

新生児センターで行われているカンガルーケア

北海道の澄川保育所では、いつものタッチケアのマットが出てくると、みんな円陣を組んで、パジャマに着替えて、「次は私」「次は僕」「次は私」というふうに待っています。一度に1人しかできないので、他には待ちくたびれている子がいて、そんな子は横でぬいぐるみにタッチケアをしているというんです。その横でも、ぬいぐるみの下に、自分のパジャマが入っていた袋をちゃんと引いて、先生がしてくれるように、ぬいぐるみの服の中に手を入れてタッチケアをしています。その後、半年か1年たってここにまた見学に行きましたけれども、最近は、子どもたち同士、足や手をスリスリやっています。子どもたち、ふれあうことが好きなんだなと思いました。

こんなことから、タッチケアは、どうやら赤ちゃんだけのものではなさそうだというふうに思うようになっていきました。