設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(大阪会場)
「保育に役立つ健康知識」子ども達の健やかな発育・成長のために

総合討論(10)

吉岡ありがとうございました。それでは、感染症について、あるいはワクチンについて、さらにご質問やコメントはございませんでしょうか。

先生、先ほど手袋のお話しをなさっていました。皆さん方よくご存じだと思いますけれども、便とか吐物、これには特にロタ、ノロウイルスもそうですが、感染力があります。ぜひ手袋を使って、それも焼却できるディスポーザブルなものが市販されています。それを使ってやっていただくときに、気をつけなければならないのは、せっかく手袋をしたのに最後にウイルスを手につけてしまうということのないように、先生にご指導いただければと思います。よくご存じかもしれませんけれども、念のために、よろしくお願いいたします。

亀田このような形で手袋をつけておられると思いますけれども、取るときには、まず片一方の手で端っこのほうをつまんで、そのまま、こういうふうにめくるような形で取っていただきます。この手は手袋につかないですね。今度は、こちらの手でこれを全部丸めるようにしていただきまして、そして、こちらの手袋のないほうの手、裏側に滑り込ませます。そして、ここからまた反転させて取っていただく。裏側は触れても大丈夫なところですから、この状態で捨てていただくということが重要です。

マスクも実は同じで、マスクは一たんつければ、必ずここから離さないということが重要です。最後は、しゃべるから下ろすとか、そういうことはせずに、ここにつけて、そこから外すときは全部ごみ箱と思っていただいたほうが適切です。むだに思われるかもしれませんが、これはしっかりとやっていただくことが感染対策の基本であるということでご理解をいただきたいと思います。

吉岡このディスポ(使いすて)の手袋も、マスクも、ペーパータオルも、有用ですが、使用法を誤るとむしろ、感染を広げてしまうことになります。園の責任ではないかということを言われないためには、理事長さん、園長さんは、ここはデイスポ製品を惜しまないようにやっていただきたいと思います。

ほかに、感染症、ワクチンについていかがでしょうか。

質問者今、感染の手袋の話を聞いて少し思ったのですけれども、私の園で気管切開をしている子がいて、その子の吸引とかをするものがあるんです。病院ではそういうものを入れるところがありますが、保育所はないので、そういうものも普通のごみ箱にそのまま捨てていいものなのか。一応、汚物のバケツは外にあるので、そちらまで持っていったほうがいいのか。吐いたものの感染のものとかも、先生とか保育士さんとか、そのままごみ箱に捨てるのですけれども、ビニール袋に包んでいますが、それで果たしていいのか。それとも、それは汚物用の外にあるバケツに入れたほうがいいのか。その辺がわからないので質問させていただきました。

亀田まず気管切開のお子さんを受け入れられているということに対して、敬意を表したいと思います。大変だと思いますけれども、気管切開のサクションのチューブということですよね。分泌物を吸引するチューブを、どのように捨てるかということですね。

質問者チューブは家からなので、一たん家に持って帰るのですけれども、人工鼻が汚れたら一応新しいものに変えるんです。その人工鼻を、今まで普通にごみ箱に捨てているのですけれども、これはいいのかなあと。

亀田やはり基本的には汚物として扱われることをお勧めします。ですから、やり方としては、ビニール袋に入れて固く縛って、そして汚物入れに入れられるというのが一番適当かと思います。

質問者ありがとうございます。

吉岡そのときはビニール袋に入れて縛って、最終的に汚物入れの大きな入れ物をまた縛るという形でいいかなと思います。

ほかにいかがでしょうか。

気管切開のように、医療的ケアを必要とする子どもさんを受け入れていただいているところが幾つかあろうと思います。そういう方の場合は、鼻汁や切開部分の分泌物から、院内感染(実際、院内感染かどうかわかりませんが)と言われるような薬が効きにくい特殊な細菌がついている可能性もあります、そういう面からも、今、先生からお答えいただいたように、慎重な対応、きちっとした対応をしていただいたほうがいいと思います。

ほかにいかがでしょうか。

質問者胃腸炎の件でご質問させていただきます。

ノロとかロタとかの診断なしで、胃腸炎という形で診断を受けてすぐ登園して、乳児さんのほうで下痢が続くという、うつし合いのような状態がよく見受けられます。先ほど、ウイルスはいろいろあってというお話を伺いましたが、そのまま来て、うつっているというのが気になるのですけれども、それはそれほど心配しなくてもよろしいのでしょうか。

亀田理想と現実の狭間というのを見たような気がするんですけれども、まず一つは、感染症を我々はしっかりと診断する役割を持っています。もしかしたら、そこの部分で手落ちといいますか、十分な対応ができていない可能性というのが、その場合にあるかなというのが一つあります。

もう一つは、検査をしたけれども陰性であって、それが停止事由には当たらないという口実になってしまっている場合があります。

三つ目は、今回のご質問では既に「周りに感染が広がってきているので」とおっしゃっているので、これは感染症というふうに考えていいと思いますけれども、お子さんの便は大人以上に正常の範囲が広うございます。これは下痢だろうと思っていても、実はその子にとっては、必ずしもそうではないというふうな比較的範囲の広いところがあって、それを正常ととらえるけれども、言葉として少し食事などに注意をしてもらいたいから、胃腸炎という言い方をしている可能性もあろうかと思います。

一つの事例をとらえた場合に、幾つかの可能性があって、そのどれに当たるのかというのは実はわからないことも多いのです。ただ、先ほどおっしゃったように、周りに感染が広がっているということがあれば、それはそれで、このようなことがありますので対応をお願いしたい、対応するためにもう少し詳しく調べてもらいたいということを、個々の主治医におっしゃるか、あるいは園ですから、園医さんがおられますね。その先生に相談をなさって対応を講ずるというのが適切ではないかと思います。

吉岡幼稚園あるいは保育園に園医さんは、大体、医師会にお願いをして医師会が決めるという形になります。園と医師との本当の意味でのマッチングが行われているとは限らない。言い方は悪いけれども、我々は小児科医ですけれども、すべての園医さんが小児科医であるということでもない。内科あるいは外科、耳鼻科の方もいらっしゃいます。そういう先生方は、経験と力量をお持ちの方もありますし、たまたまマッチングでここに当たったという人もないわけではない。

したがって、個々の例は、やはり家族を介して担当の医師、あるいは主治医がおられたら、そういう先生に診ていただくということを守っていただくことが大切です。ただし、園全体として行動するようなことが必要な場合には、やはり園医さんを中心に動いていただくことになります。そのようにうまく分担をしていただくことが大切です。

ほかにいかがでしょうか。

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