設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(大阪会場)
「保育に役立つ健康知識」子ども達の健やかな発育・成長のために

総合討論(6)

吉岡今のお話しの中には、インフルエンザあるいはその他ワクチンや免疫のこともありました。そのあたりでご質問があれば、ぜひお手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。

質問者感染症で亀田先生に質問です。感染症と診断されて、一度、お休みをされた後に、こちらでは再診お願いする場合があったりしますけれども、感染症によって、再診をしたほうがいいというものと、しなくてもいいものの違いはありますでしょうか。

亀田ありがとうございます。例えば、風邪をすべて再診していただいたほうがいいと我々は考えているかというと、なかなかそういうわけにはいかないですよね。しかし、再診をしていただいたほうがいいというのは確かにあるんです。具体的には、それによって周りへの予防ということができる感染症については、これを推奨しております。例えば水疱瘡であったら、お母さんが、これだったら感染しないだろうと思っていても、実際にはまだ感染性をしっかり余している場合があったりします。インフルエンザであっても、発熱後5日間、さらに発熱が長引いた場合には、解熱後2日間あるいは3日間ということが言われておろうかと思いますけれども、こういう判断は客観的な評価が必要になってこようかと思いますので、特に出席停止事由になるような感染症については、再診をお願いするという形で対処されればよろしいかと思います。

質問者ありがとうございました。

吉岡いろいろな理由から、もう一度必ず小児科に診てもらうように、とは園の先生方の立場としてもなかなか言いにくいですね。お金もかかることですし。しかし、一つは登園を許可する事由というのはちゃんとあって、休園は何日間という制限があるわけですから。それを超えている場合に、さらに診てもらってきなさいというのはなかなか言いにくいですね。それよりも、保護者には、あしたから仕事があるので、とにかく早く園に行かせたいという場合もありますから。そういう場合には、規則を一つの理由に「念のために夕方でもお医者さんに」ということをおっしゃると、やりやすいかもしれません。

ほかにいかがでしょうか。

私に与えられたご質問もございましたので、それをさせていただきます。

まず、擦り傷の対応についてのご質問がお二人からございました。ドクターに診てもらうほどではない程度の、擦り傷はしょっちゅうありますね。ところが、中には感染してジクジクして治りにくい、ということも起こり得ます。どの辺で手を打つかというのはなかなか難しいですけれども、まず、擦り傷の場合には、傷口をきれいにしておくということが大事です。流れ出ている水道水できれいに洗う。その後、ぬれたままというわけにいきませんので、きれいなティッシュペーパーやガーゼなどで水分を拭き取る。ここまでは大抵されていると思います。

その後二つの方法があります。ケースバイケースですけれども、手っとり早く軟膏、例えば、抗生物質入りの軟膏を塗ってそのまま放っておくか、ガーゼを1〜2 枚で覆うという方法もあります。もう一つの方法は被覆テープという傷パワーパットのようなものです。最近は、乾燥させるよりはきれいであれば湿潤させておく方針で、局所を覆いなさいというのが一般的です。できたら、そういうものもお使いいただく方法もあります。

しかし、擦り傷程度を全部そういうパットをつけなければいけないかというと、そこはケースバイケースで、放っておいてもいいものが多いのではないでしょうか。ただ、傷パワーパットをつけた場合に気をつけなければならないのは、そのうちパットの色も変わってちょっと盛り上がってきます。したがって、中がわからないので、毎日交換する。傷がきれいになっているかどうかを、おうちか園で確認していただいたほうがいいと思います。

次に、体外から刺激を与えて心臓を賦活させるAEDのことについてのご質問です。私が申し上げたのは、一般のAEDは成人(大人)を相手にパットの大きさとかを決めてあります。子ども用がありますので、子ども用のものを園で用意し、それを使っていただくということを申し上げたかったのです。子どもに立ち会わせて訓練をするかというご質問でしたが、それは必要がないと思います。

ちょっと深刻な問題を申し上げます。誤嚥をしてのどにつまらせた場合にどうするか。これは非常に難しいです。指を入れて出させるというのは、詰まっているものが出せればそれが一番いいわけですけれども、必ずしもそういうことがいつもうまく行くというわけでもないのです。最近、小児科学会雑誌に載ったケースは、砂糖菓子であったために、指を入れてもわからなかったというのです。指を突っ込んで物を出せたらそれは一番いいですけれども、そうはいかないものもあるし、場合によっては、奥へやってしまうということもあるということです。とにかく人差しゆびの届く範囲にあって出せるものだったら出すということはいいと思いますけれども、あとは、とにかく救急車だと思います。

もう一つ大事なことを申します。例えば、ボールやマジックテープでくっついていて離すと二つか四つほどに分かれるお菓子様の遊び道具がありますね。これを口に入れていて、それを見たお母さんが、「何してるの、はよ出し!」と言ったがために窒息した、という報告があります。それが1例ではなく複数例あります。そういうときに、お母さん、あるいは先生方としては、「はよ出し!」と言うのは普通の対応ですから、適切な対応は難しいのでけれども、余りびっくりさせてヒュッと息を吸い込んでしまって、余計に奥にやってしまうということはあり得るということです。

したがって、そういうものは初めから口の中に入れないような工夫をする。大きさが、4・5㎝までは危険ということがわかっていますので、大きさは5㎝以上、あるいは5・5㎝以上のものでないと置かない。ミニトマトでも、必ず半分か4つに割って食べさせる。丸いものは窒息させますので、砂糖菓子でも丸ではなくて、三角にしてやったらそういうことは起こらないのです。こういう工夫をしていかなければいけないだろうと思っています。

事業内容のご紹介 協会の概要活動の概要設立の経緯協会のあゆみ健康優良幼児表彰の歴史
最近の活動のご紹介
小児医学研究への助成 機関誌「ふたば」の発行シンポジウムの開催 Link:Glico