設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(大阪会場)
「保育に役立つ健康知識」子ども達の健やかな発育・成長のために

総合討論(2)

保育園では何段階もの除去食をつくらない。全部食べられる子と食材として全く使用しない除去食の2種類を原則として何種類ものアレルギー対応食をつくらないことが推奨されています。あとは、個別の園の実情により安全性の確保を第一とした対応を考えます。

それから、「最近増えてきているかどうか」。確かにいろんなデータがございますけれども、京都市内ですと、2009年のデータを先ほどお示しましたが、その前に調査しましたのが1993年で、16年間で1%ぐらい増えてきています。今、いろいろ報道で言われるほどには増えてきてはいないということになります。

いろんなアレルギーの疾患全体が、花粉症も含めまして増えてきているということと何らかの関係があるのかもしれません。

具体的なこともいろいろご質問いただいています。例えば、「小麦アレルギーの子につくれるおやつは何かあるか」ということをご質問いただいています。私の大学では今日が卒論発表の日で、ちょうどそういう発表した学生がいます。米粉が非常に手頃に使えるようになりましたので、米粉を使って、あとのものはほとんど同じ材料でつくることもできます。もちろん昔ながらのサツマイモの蒸したもの、いわゆるお菓子というよりも、軽食に近いようなものを利用するとか、いろいろな方法があると思います。

もう一つ、重要なご質問をいただいています。容器包装された加工食品のアレルギー物質の表示のことです。この表示制度で、特定原材料というのは7品目定められています。卵、牛乳、小麦、エビ、カニ、落花生、ソバです。この7 品目に関しましては、食品衛生法というもので非常に厳しく規定されておりますので、現在は表示もれはほとんどなくなってきています。ただ、スライドでもお示ししましたように、これは全部タンパク質濃度で規定しております。食品衛生法では1g 中に10μg以上入っているのに表示していないと、表示義務違反になります。ぎりぎりの10μg入っているとしますと、100g のものを食べたら1㎎になります。重症例でアナフィラキシーを起こしうる量です。ですから、表示制度が万能とは言えませんが、表示制度のおかげで随分助かっています。濃度表示という約束事のために1食分摂取して症状をおこした患者さんでさえ、含有量が全くわかっていなかった時代に比べると、食品選択の幅が広がったとおっしゃっています。

乳製品では、代替表記にカタカナの言葉がいっぱい書いてあります。特定加工食品の約束事もあります。そういう点が少し難しいです。消費者庁のホームページにアレルギー物質の表示に関するQ&A があります。かなり詳しく書いてありますので、ぜひ、担当の方はごらん下さい。

ご質問では、「同じ製造ラインであると書いてあるものはどうか」。この表記は認められています。この場合にはそれほどたくさんは含まれていないと思っていただいて結構です。

むしろ注意が必要なのは「一部に〇〇を含む」という表記です。表示がしていなかったのにアナフィラキシーを起こしたといって、実際に私のところに、各地の小児科医から食品が送られてきます。そのときの表示をよく見ますと、「書いてあるのに」というのが実はとても多いのです。それはどういう表記かと言いますと、今のところ経験したのは全部乳製品ですが、最後に括弧をして「一部に乳を含む」と書いてありました。

その表記を少ないと理解することが見落としの原因と考えます。私のところに抗原量を量る専門の人が2人います。そういう人たちはベテランですが、その人たちも、これは少ないですとおっしゃいます。普通の表記は重さの順番に書いてありますが、この表記はそこから外れております。そして、「一部に」というのは、決して少ないということを意味していないのです。例えばチョコレートなどは、チョコレートを使ったお菓子だと、チョコレートと書いて、一番最後に「一部に乳を含む」と書かれていることがよくあります。そういった約束事の理解が少し難しいということです。

ただ、表示制度につきましては、現在いろいろ検討されているようでして、まだ確定ではないとは聞いていますけれども、もう少しわかりやすい表示になります。乳製品が入っていたら、乳というのをどこかにきちんと書いてあるという、かなりシンプルなものを併用することが、今、検討されているときいています。いずれにしましても表示をきちんと見ていただくことが大切です。

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