設立80周年記念 第35回母子健康協会シンポジウム(東京会場)
「保育における言葉とコミュニケーション」子ども達と保護者と共に育ちあいつながりあう保育

総合討論(3)

もう一つの質問は、「24時間保育園では朝食は出ないのでしょうか」とありますけれども、うちの場合は、原則的に朝ご飯はきちっと家庭で食べてくるということです。夕食は全員で6時に終わります。全員でご飯を食べて帰ります。それというのも、無認可のときの名残で、親が遅く迎えに来るときは、子どもたちは、ご飯は食べられない、お腹が減った、お迎えが遅いといったら踏んだり蹴ったりだから。私、そういうのは大嫌いだったから、夕食もちゃんと園で先生たちと仲良く団らん的に囲もうね、給食食べようね、と。

親は8 時、9 時に迎えにきても、大人だから、そこら辺にある弁当を買って帰って食べたらいいんですよ。そのほうが、家に帰ってゆっくり子どもとのコミュニケーションも取れる、私はそう信じています。だから、ずうっとやってきました。うちでは完全給食を6時にみんなで食べます。でも、大きい子ども、3歳児以上になったら、夕食を食べても、10時とかに帰ってもお腹がへるんです。だから、親と一緒につまんだりするとか、そういう意見も親にはあります。「先生、帰っても食べるんだ、太らないかなあ」とか、いろいろ。でも、そんなにいっぱい食べないで、フルーツを少しあげるとか、歯磨きをして早く寝るとか、そういうことを心がけたらいいのではないかと言います。

うちの園の場合、朝食が出るのは、看護師対応、医者対応とかで、13時間延長を確保してあげていますから、お迎えが7時に来られないときは、栄養士が前の日の残り、と言ったら悪いけど、おにぎりをつくってやったり、先生がスープを温めてやったりとかして、みんなが登園した中で食べさせるのは大変だから、職員が1人ついて、事務所にその子を連れてきて一緒に食事をとるとか、そういうふうに朝ご飯が必要な子どもは食べさせています。でも、無償です。

それから、「言動のきつい保護者」。どこにもいますよね。私のところの経験ですが、このような保護者は、人に対するやさしさが欠けている。うちの事例ですが、3年前、新任の保育者が入ったときに、私が出勤したら、その親と廊下の前に出て1対1でやり合っているのね。その本人は気がやさしくて、いい先生。涙流してその親とやっているから、「何しているの?」と言ったら、黙っている。中を見たら、まだその保育士さんは中で保育をしないといけなかったから、「今、保育中でしょう、中に入りなさい」と指示して、肩たたいて、「保育して」と言って。

その後、その親に「何をやっているの?」聞くと。「先生のとこの保育者、私が育てないといけないから」と。そんな横柄なことを言うから、私から怒られる。「少しあんた、おかしいよ。あなたから育ててもらおうと思ってないよ。私が育てているんだから、いい」と言って、それから私、しつこいからね。その次の日も、その次の日も言うよ。「ちょっと下においで」といって。私はワアワア言わないですが、相手がワアワア言う。でも、知らん顔しています。

みんな親は、子どもを人質にとられていると思っているかもしれませんが、そんなことはない。子どもはみんな一緒だから、みんなかわいがっている。その子は○○ちゃんと言うんだけど、「○○ちゃんがどれだけ先生たちにかわいがってもらっている? あなた、見てわかるでしょう。育っているでしょう。だから親も、そういうときは何も言わないの。何か言いたかったら私に言ってください。職員には、言わない」と言うようにしています。

その先生の後のケアが大変ですよ。やっぱり意気込んで保育者になって入ってきたんです。やさしい先生ですよ。それからうつ状態になって、辞めたい、辞めたいになるんですよ。でも、それってよくないですよね。「あなたはいいものを持っているから、いい保育者だから、今からどんどん伸びるよね。だから、園長を信頼してついておいで」と。そういうことですぐチームを組んで、リーダーとか、アドバイザーとか、クラスの役職を呼んで、その彼女の彼氏も呼んで、次の日は居酒屋へ行ってみんなで一杯飲むんですよ。みんなで聞いて、頑張ろうね、頑張ろうねと。そんなんで頑張っています。

そんな先生は、誰かがフォローしてやらないと、かわいそうだよね。気のいい先生で、やさしい先生で、保育の方法も上手だし、生き生きと仕事をしてくれるから、うちにとって、その先生が辞めることはデメリットです。親よりもデメリットを感じる。だから、親はいいんです。行政に行って園長の悪口を言ったり、エイビイシイの悪口を言ったり、いろいろするけど、何ということはない。今、そんな保育者がたくましくなってきています。だから、親に負けない。悪いときは親に言ったほうがいい。「変な言葉遣いをしないでね」とか、「誰にもの言っているの」とか。でも、そんなことが効きますよね。

あと、いろいろ文句を言う親で、一人の親分がいて、そのあと4 人か5 人、取り巻いているのよね。そして、職員の悪口をいろいろ言うんですよ。そんなのは情報が入ってくるから、その親分を除いて4人ぐらいを一緒の部屋に呼ぶんです。「きのう、あなたたち居酒屋へ行って飲みよったやろう。うちの職員の批判とか、私の批判とかしよったやろう?」とか聞くんですよ。「いいえ、していません」と言うけど、「情報は入ってきているから、わかっている」と。それで話すんですよ。「何でそこまでやるの?」「何か不服ある?」と言うと、「何もない」と。「私はあなたたちの子どもを赤ちゃんのときから守っているんだよねえ」「どんなことも一生懸命聞いてあげたよねえ」と。

その子どもたちが今度は学童クラブに行くんです。うちの理事長は、人に迷惑をかける親、そんなのは絶対に学童に入れないと。公立の学童は行っていいんですよ。でも、うちは私立だから、絶対入れない。だから脅した。絶対入れないって(笑)。そうしたら、「そんなこと言わないで」とか言うから、「じゃあ、あと何カ月間残っているから、しっかり頑張ろう」と。「リーダーシップを取って父母会をまとめてくれているんだから」と、お世辞をいっぱい言うんですよ。一人ずつの親に、「よく頑張ってるね。あんた、サービス業でも美人だし、モテるやろ?」とかね、いろいろ言うんですよ。「こういうときは、園長先生にといって、菓子折り一つぐらい、ごめんねと持ってこんとね」とか言ってね。そんなことを話します。

その中でいろいろ話していくうちに、気持ちがとけ合っていって、もう悪いことしないですよ。子どもがいつも生き生きして先生と仲良く生活をしていたら、親は十分育っていくと思います。だから、言葉の悪い親はほったらかしとったほうがいいです。私はそう思っています。

でも、いざというときには、保育者の代わりに園長は体を張って守る。クビになってもいいと。新宿区に幼稚園も保育園も数多くあるのだから、「好きなとこがあるよ、どこでも行けるよ」そういう言い方をします。「エイビイシイ以外にもいっぱいあるよ」といって教えます。「そのときはいろいろアドバイスしてあげるから、おいで」と。

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