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《子どもとのふれあいを大切に》—スマホに子守をさせないで—

日本大学医学部小児科客員教授 岡田 知雄先生

メディアの有害性とその証明(2) -やはり脳が壊されていた!-

2014年12月、ある衝撃的な本が出版された。岡田尊司著「インターネット・ゲーム依存症、ネトゲからスマホまで」がそれである(6)。この書は、インターネット依存、ゲーム依存者における脳の画像解析により、脳の機能的、器質的な変化の数々の研究報告を引用し、メディアの有害性は、覚醒剤や麻薬中毒と同様な、直接的な脳の変質が生じることによるものであることを、科学的なデータに基づき証明される事実を紹介している。著者自身も精神科医として多数の症例を経験しており、メディア中毒の病理が明確に述べられている。子を持つ親にとっては必読の書ではないかと思われる。

表2

本書にも述べられているが、ついに「ゲームをやりすぎているだけで、病気なんかではない」などとのんきなことはいっていられなくなったのである。そして2013年5月、アメリカ精神医学会の最新の診断基準であるDSMー5に、インターネットゲーム依存症がはじめて、「インターネットゲーム障害」として採用されたのである。このDSMー5のインターネットゲーム障害は、9項目よりなるがその中でも5項目以上に該当することが診断の要件である。インターネットゲーム障害診断の中核的な症状として、表2の5項目があげられている。まさに覚醒剤や麻薬中毒、依存症の診断の要件と何ら変わらないことがわかる。

参考文献

  1. (1)清川輝基 著 現代子育ての落とし穴、人間になれない子どもたち。枻出版社、2003年4月30日
  2. (2)日本小児科学会子どもの生活改善委員会:乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です。日本小児科学会雑誌、108:709-712, 2004.
  3. (3)日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会:「子どもとメディア」の問題に対する提言。日本小児科医会会報、27:7-10,2004
  4. (4)村田光範。子どもとICT〜健やか成長のためにはどうあるべきか〜。小児保健研究 2014
  5. (5)American Academy of Pediatrics. Policy statement.
    Media use by children younger than 2years. Pediatrics 2014, 128:1040-1045.
  6. (6)岡田尊司著「インターネット・ゲーム依存症、ネトゲからスマホまで」文春新書、文藝春秋社、2014年12月20日
  7. (7)日本小児科医会。スマホに子守りをさせないで! http://jpa.umin.jp/
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