母子健康協会 > ふたば > No.73/2009 > お子さんが小柄である事が気になったら > 3.成長曲線
お子さんが小柄である事が気になったら
大阪大学小児科学教授 大薗恵一先生



3.成長曲線


図2 成長曲線 図3スキャンモンの曲線

 年齢と身長の関係を図示したものを成長曲線と呼び、図2に示しました。成長曲線は引き延ばされたS字の形をしており、スキャモンの発育曲線の分類では一般型に分類されます(図3)。成長曲線は、日本人の標準身長・体重曲線に基づき男女それぞれ作成されていますが、これは定期的に改訂され数値が若干変化しているため、最新版(現時点では2005年度3月改訂版)を参照する必要があります。大きい方から+2SD、+1SD、平均、-1SD、-2SDの曲線が書かれています。最新版では、身長については-2.5SD、-3SDの曲線もあります。身長SDスコア(SD:standard deviation, 標準偏差)は、(現在の身長—平均身長)÷標準偏差(SD)により求められ、各年齢の男女別平均値と標準偏差は表で示されています。
図4 成長時期と成長に影響する主要因子  成長時期は、速い増加を示すが急速にその速さが鈍る乳幼児期、それに引き続きゆっくりと成長速度が低下する前思春期、再び急速に成長速度が増加してその後ブレーキがかかり成長が停止する思春期の3時期に分けるのが一般的です(図4)。これは、ICPモデル(infancy、childhood、puberty)に基づいた考え方です)。それぞれの時期に成長に関わる重要な因子が知られていて、乳幼児期では栄養、前思春期では成長ホルモン(Growth hormone:GH)、甲状腺ホルモン、そして思春期では性ホルモンがそれにあたります。上記に加えて糖質コルチコイドホルモン、インスリン、ビタミンDなども小児の成長に関係します。
 この他、身長は遺伝的な影響を比較的強く受ける事が知られています。簡単に言うと、お父さん、お母さんの身長に子どもは似るという事です。両親の身長をきき、そこからその子の目標身長(男児:父の身長と母の身長の平均+6.5cm、女児:父の身長と母の身長の平均-6.5cm)を計算することができ、成人になった時に大柄なのか小柄なのかおおよそ予想する事ができます。
思春期は成長が著しい時期でこれを成長のスパートといいます。実際、男の子の思春期の最も良く伸びる時期では、年間で10−12cmくらい伸び、女の子なら年間8cmくらいです。身体も大きく変化して、それぞれ、男らしく、女らしくなって大人へと近づきます。精神的にも変化して、自立心がわき、親の言うことを聞かなくなり、異性を意識し始め、見かけにこだわったりします。 
 思春期の成長スパートは、性ホルモンと成長ホルモンにより引き起こされます。成長スパートを迎えた後、骨端線は次第に閉鎖して、背が伸びなくなります。女の子ではよく、初潮を迎えるともう背が伸びないと言われますが、全く伸びないのではなくてだいたい6-7cm伸びますが、以前のようには伸びず停止時期が近づいているので、そのように言い伝えられているのだと思います。思春期が適切な時におこる事は大切で、早すぎでも遅すぎても身長の伸び方に異常がおこります。



母子健康協会 > ふたば > No.73/2009 > お子さんが小柄である事が気になったら > 3.成長曲線
事業内容のご紹介 協会の概要活動の概要設立の経緯協会のあゆみ健康優良幼児表彰の歴史
最近の活動のご紹介
小児医学研究への助成 機関誌「ふたば」の発行シンポジウムの開催 Link:Glico