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少子化と性教育に関する一考察
東京大学名誉教授 鴨下 重彦


純潔教育


 もう三十年近く前になりますが、日本思春期医学会(現思春期学会)が東京で行なわれ、性教育についてのシンポジウムに出席していた時のことです。シンポジストは産科医、小児科医、保健婦、小中学校の教師などが壇上に並んでいました。会場からの質問も、何年生から避妊法の授業を始めるか、いつからどうやってコンドームの使い方を教えるか、とかに質問や議論が集中し、驚くばかりでした。いい加減うんざりしてきたころです、前のほうに座っていた老紳士が手を挙げ、「いろいろ聞かせてもらって参考になったが、今の小中学校ではいったい純潔教育をどのようにお考えになっているのでしょうか?」と発言しました。会場は一瞬水を打ったように静かになったのです。誰からも満足な答えがなかったと記憶します。その老紳士は当時鹿児島大学小児科教授の寺脇保先生で、古武士の風格がありました。古いといえば古いのでしょう。しかし性についての情報の氾濫、性を単なる快楽の手段としてしまったところに、すべての問題の根源があるのではないでしょうか。大人も子どももモラルを失い、子どもに対してきちっとした指導も出来ないのが現実なのです。



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