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第25回 母子健康協会シンポジウム 保育と食育
3.食の問題行動と対応
国立保健医療科学院研修企画部長 加藤 則子



最近の子どもの食


 平成12年度に「幼児健康度調査」という全国調査が行われました。これは、現在の母子手帳に載っておりますグラフのもとになるデータをとった際に、同時に生活調査をいたしまして、6500例からこういったデータが集まりました。これは、規模としては最近の中では最大のものでしょう。
 その中で、表1の「食事について心配なことはありますか」ということですね。「とくにない」というのが半分近くですけれども、「小食」というのが1割台ですとか、「好き嫌い」というのは、年が大きくなるにつれて増えていきます。「落ち着いて食べない」、これは1歳、2歳、3歳、この辺が落ち着いて食べないのは、この年齢の子には普通のことかもしれませんけれども、多いということ。「むら」というのも、1歳半から2歳にかけて、1日1食はしっかり食べるけれども、あとの2食はどうもという、そういった食べ方をする子どももたくさんいます。

【表1】食事について心配なことはありますか。(平成12年度幼児健康度調査から)

 この調査は昭和55年から10年ごとに3回続けてやっているので、変化が見られるのですが、平成2年から平成12年、わずかですけれども、「落ち着いて食べない」方が増えているということです。
 次に、表2の「朝食のとり方はどうですか」という質問です。平成12年で、「毎日食べる」方が8割以上いるのは、この年代としてはごく普通のことでしょう。ただ、びっくりいたしますのは、「週に1、2回ぬく」というところで、2、3歳では10%。ならしましても、5%以上のところで朝食の欠食をしている子どもがいるということです。この原因につきましては、寝る時間ということがあります。これについては後で触れさせていただくとして、表3の「おやつの与え方をどのようにしていますか」というところを先に説明します。歯科の先生は、甘いものをむし歯の原因として敵のようにおっしゃいますけれども、私自身、小児保健をやっている立場といたしましては、子どもの楽しみとかそういった観点もあって、総合的に考えていく視点もございます。一方、個人的に甘いものがとても好きでむし歯だらけの子だったので、あまり人にきついことも言いづらいのですが……。

【表2】朝食のとり方はどうですか。/【表3】おやつの与え方をどのようにしていますか。

 とりあえずデータを示していきますと、「時間を決めて与えていく」という方は、10%台で、年齢が大きくなるにつれて大きくなっています。「欲しがるときに与える」、これも裏腹なものですけれども、これもあまり大きく変わりませんで、10%前後から20%台ぐらいということで、ここは特に注目すべきデータというのはありません。「栄養価に注意している」方というのは、若いほうで3割ぐらいということで、多い傾向があるかなというぐらいです。
 あと、「甘いもの」というところにまいりますと、「甘いものはなるべく少なくしている」という方は1割から2割ぐらい。逆に、「甘いものに偏る」と回答している方は3%から5%ぐらいです。「甘いものを少なくしている」という方をこの10年間で比べてみると減っていて、逆に「甘いものに偏る」という方は、若干ですが、増えているということで、甘いものをわりに食べさせるように、ここ10年なっています。これは恐らく、甘いものに対する健康教育の観点が変わってきている部分もあるというふうに考えております。

【表4】寝る時間

 次に、表4の「寝る時間」ですけれども、これは新聞にも載りました。1歳から6歳まで、それぞれの時間帯についてデータが出ていますけれども、これを一つ一つ見ていくと難しいので、注目すべきところだけ下に抜粋させていただくとともに、20年間の推移を書かせていただきました。10時以降のものを全部足した値がそこに出ていますけれども、2歳児は、昭和55年、25年前には10時以降に寝る子が3割いました。これだけでも大変な数だと思います。同じ昭和55年は、5、6歳児はだいたい1割と、わりに宵っぱりの子は少なかったです。次の日に幼稚園、保育園があるからといって、5歳、6歳になるとちゃんと寝ていました。ところが、平成2年になりますと、2歳児は10時以降が4割で、5、6歳児でも17%。このくらいは10時以降に起きているようになりました。
 恐るべきことに、平成12年は、2歳児は6割が10時以降に寝て、5、6歳時は、幼稚園、保育園の次の日があるにもかかわらず、4割の子は10時以降起きているという結果になってきています。恐らくテレビゲームとか、テレビ等々、いろいろな誘惑があるからだと思います。夜寝る時間が遅いことが朝ご飯が食べられないという、いわゆる食に関する問題行動につながっているというふうに結論されております。
「どうしましょうか?」ということになるのですが、保育所に預かっているお子さんは、夜、やっと家族と一緒になったときにやはりくつろぎたいですよね。一緒に時を過ごしたければ、10時くらいが、ちょうど食べ終わって、やっと一緒にゆっくりとかかわりのできる時間なので、そこで無理やり寝かせるというのは、自分の経験から言うと、ちょっとつらいものがあったかなという気がするので、どうでしょうね……というところで、ビシッと言うビジョンが出せないのですが。



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