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シリーズ「子どもの健康とお砂糖」
第2回 子どものむし歯と砂糖
東北大学大学院講師 歯学博士 畑 真二



 人間が生まれて初めて口にする食べものは母乳です。母乳には砂糖などの糖が含まれており、ほのかな甘みにあります。生まれたばかりの赤ちゃんに「甘味」、「苦味」、「酸味」をなめされると「甘味」にだけ舌なめずりをするとの実験報告があります。これは、人間が本能的に甘さを好むことを表していると考えられます。
しかし昨今、砂糖などの甘いものは「健康に良くない」と、とかく敬遠されがちです。真実はどうなのでしょうか。未来を担う子どもたちの健康や成長に砂糖がどのように関わっているのかを専門の先生がたにまとめていただきます。
(協力 砂糖を科学する会)

むし歯の原因は(1)糖分+(2)歯垢(細菌のかたまり)+(3)糖分が歯に停滞する時間の3つです。子どもの成長と健康に必要な砂糖だからこそ、むし歯にも充分に注意することが大切です。むし歯の予防には、甘いものの摂り方と歯磨きが大きな要素となります。

正しい食習慣と意識的な歯磨きを


 小さな子どもにとって、おやつは栄養上の重要な補助食です。おやつに甘いものを摂るのなら、だらだら食べて、糖分を口のなかに停滞させるのは禁物。おやつの時間をしっかりと決めて食べましょう。また、甘いものを食べるときに甘みのない飲み物を一緒に飲むと、歯についた糖分が洗い流される効果があります。
 次に、歯磨きは、歯から歯垢を徹底的に取り除くことを意識しながら、磨くことが大切です。そのためには、1週間に1度くらい、歯垢が赤く染まる市販の歯垢顕示液を使って、歯垢がどの部分に多いのか、歯磨きでちゃんと歯垢が取り除けているのかを自分の目で確かめるのが、もっともよい方法です。


子どものむし歯と砂糖の消費量


 日本では子どものむし歯は年々減り、程度も軽くなってきています。これは歯科検診の実施やフッ素入り歯磨きの普及、歯科医の増加などによって口腔衛生が向上したためです。砂糖の消費量の減少の関与も考えられますが、欧米諸国と比べると、依然として子どものむし歯が多いのも事実。そこで世界の砂糖の消費量と子どものむし歯の数を比較してみると、必ずしも比例していません。むし歯は砂糖の摂取だけではなく、その国のおかれた状況や生活習慣全体に関わっているということです。

子どもの歯磨きは、ここに注意!
(グラフ)




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