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子どもの病気にステロイドを使うといわれたとき
山口大学医学部生殖・発達・感染医科学講座 小児科学教授 古川 漸



4 ステロイド薬による成長障害


 ステロイド薬で治療するとき、子どもとおとなの最大の違いは、副作用としての成長の障害です。子どもは成長段階にあるため、ステロイド薬の副作用の1つである成長障害に特に注意しなければなりません。ステロイド薬によって成長障害がおこるしくみを図2に示します。
 ステロイド薬による成長障害は低身長になることです。身長の伸びにかかわるホルモンは、成長ホルモンです。このホルモンは、グルココルチコイドと同じく脳で調節されています。脳の中の視床下部からの信号によって、下垂体で成長ホルモンがつくられます。成長ホルモンは成長軟骨板と結合組織を合成し、身長を伸ばします。肝臓でつくられるインスリン様成長因子(insulin-like growth factor-1:IGF-1)というホルモンによってこの合成はさらに促進されます。また、成長軟骨板自身もインスリン様成長因子を分泌します。
 ステロイド薬を用いて体内のグルココルチコイドが増えすぎると、過剰になったグルココルチコイドは、成長ホルモンやインスリン様成長因子ができるのを妨げるように働き、結合組織の合成を抑制します。その結果として、身長の伸びが抑制されて成長障害がおこります。

(図1)

(図2)



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