初期むし歯の再結晶化を促す POs-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)初期むし歯の再結晶化を促す POs-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)

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実証
POs-Ca成分を配合したガムを噛むことにより、歯のエナメル質の再石灰化率が上がるだけでなく、エナメル質の結晶の回復も向上する。

脱灰したエナメル質が、POs-Ca成分を配合したガムを噛むことで再石灰化していることをTMR法及び広角X線解析により調査。広角X線解析には、大型放射光施設「SPring-8」を利用した。

大型放射光施設「SPring-8」宇宙探査機・はやぶさが持ち帰った宇宙の超微粒子の分析を行うなど、宇宙事業開発やITの最先端技術を研究する世界最大の放射光施設。

脱灰エナメル片の調製法

初期むし歯のモデルとして、人工的に初期むし歯の状態にしたエナメル質片を作成。エナメル質片をメチルセルロースゲルで覆い、その上から乳酸溶液(pH 4.6)を重ねて37℃で14日間保持。これにより乳酸が徐々に浸透し、実際の口腔内に近い状態の脱灰エナメル質片を調製することができた。

実験対象者

20歳以上の男性10名、女性10名

実験方法

実験対象者の口の中に、脱灰したエナメル質片を固定した小さな装置(以下エナメル質片)を取り付け、以下の2つのガムを噛んでもらう。ガムを噛み終った後も20分間エナメル質片を装着し続け、その後に回収。これを1日3回実施、2週間継続。2週間後にエナメル質片をTMR法、及び広角X線にて解析し、それぞれ再石灰化率と結晶回復率を算出した。

グループA:リン酸化オリゴ糖カルシウム2.5%配合ガム(+)
グループB:リン酸化オリゴ糖カルシウムを配合しないガム(−)

※実験期間中はフッ素入りの歯磨きは使用しないようにしてもらい、エナメル質片は乾燥しないように保管した。


結果

1:TMR解析による再石灰化効果の算出各ガムによる再石灰化率グラフTMR解析により、再石灰化率を算出したところ、POs-Ca成分配合ガム(+)群は非配合ガム(−)群に比べて、高い再石灰化率を示した。また、非配合ガム(−)群でもある程度の再石灰化が見られた。

2:広角X線解析による結晶回復率の算出各ガムによる再結晶化率グラフ広角X線解析により結晶量を測定、再結晶化率を算出しました。POs-Ca成分配合ガム(+)群は非配合ガム(−)群と比べて高い再結晶化率を示した。また、非配合ガム(−)群でもある程度の再結晶化率が見られた。

POs-Ca成分を配合したガムを噛むことにより、歯のエナメル質の再石灰化率が上がるだけでなく、エナメル質の結晶の回復も向上していることがわかった!

リン酸化オリゴ糖カルシウムによる再石灰化とは、脱灰により初期むし歯となった部分が、健康な歯と同じように結晶化していることがわかった。また、リン酸化オリゴ糖カルシウムを含まない生来のだ液だけでも結晶化が起こっていることもわかった。すなわち、リン酸化オリゴ糖カルシウムはもともとのだ液の持つ結晶回復力を強化しているといえる。

さらに今回、財団法人高輝度光科学研究センターが運営する大型放射光施設(SPring-8)を利用したことで、直進性を保つ(※)X線ビームを調整が可能に。エナメル質の結晶構造の変化をとらえる、精度の高い解析手法を新たに開発することができた。

※直進性を保つとは・・・
光は、光源(光の出るところ)から離れるに従って、広く拡散して弱くなっていきます。豆電球一つでも周辺をぼんやりと照らすことができるのはその性質のため。直進性を保つビームとは、光源から離れても拡散することなく、ピンポイントで照らすことのできるビームを指す。日常では、レーザーポインターなどに使われているレーザー光が比較的直進性を保つビームとして知られている。

検証 初期むし歯の再結晶化効果の証明
測定目的と方法

前回の実験により、リン酸化オリゴ糖カルシウム配合ガムによる再石灰化とは、初期むし歯を、むし歯になる前の健全な歯と同じ結晶構造に戻す可能性があることがわかった。その可能性をさらに検証するため、広角X線回折だけでなく、小角X線散乱による実験も行う。小角X線散乱とは、広角X線回折と同じくX線解析の一種であり、以下のような性質を持つ。

広角X線回折:結晶や液体の原子間距離(0.1〜1ナノメートル)での構造解析ができる
小角X線散乱:より大きな(数〜数十ナノメートル)の構造解析ができる

すなわち、エナメル質の観察を行う場合、広角X線回折では結晶変化と配向性(結晶の向き)が観察できるのに対し、小角X線散乱では結晶間隙(結晶と結晶の隙間の大きさ)を観察することが可能となる。

測定方法

エナメル質ブロックに人工的に初期むし歯を発症させた後、脱灰した部分の一部にリン酸化オリゴ糖カルシウムを用いて再石灰化させた。エナメル質ブロック内には、健全、脱灰、および再石灰化の3つの部分を作った。そのブロックをTMR法、広角X線、小角X線にて解析し、再石灰化率、ハイドロキシアパタイト結晶の結晶量、結晶間隙領域の変化について分析した。

結果

人工的に初期むし歯を作ったエナメル質ブロックにX線を照射し、健全歯部位、脱灰部位、およびリン酸化オリゴ糖カルシウムによる再石灰化部位の結晶状態をそれぞれ解析。その結果、主に以下の2点が明らかとなった。

  • 脱灰部はミネラルが原子単位ではなく、ハイドロキシアパタイト結晶単位として失われている
  • 再石灰化部はミネラル量と同様にハイドロキシアパタイト結晶量の回復が観察され、しかも健全な歯と同じ結晶の並び(配向性)を有している

つまり、見た目では穴が観察されない初期むし歯において、エナメル質表層下では単にカルシウムやリン酸のミネラル成分が失われるのではなく、エナメル質の約9割以上を構成しているハイドロキシアパタイト結晶の単位ごとで失われ、ナノ〜ミクロサイズのすき間が生じていることがわかった。さらにリン酸化オリゴ糖カルシウムを用いて再石灰化した再石灰化部では、元の健康な歯と同じ秩序だった結晶の並びを持つハイドロキシアパタイト結晶として回復していることを定量的に確認。また、結晶量の変化は、従来法であるTMR法で観察したミネラル変化量の変化傾向と相関があることがわかった。

実証
POs-Ca成分を配合したガムが、小学生の初期むし歯を改善!

小学生が1年間、毎給食後に
POs-Ca成分を配合したガムを摂取
口腔内の酸性化を抑制し、初期むし歯の改善効果も実証

POs-Ca成分を配合したガムを使った小学生の「初期むし歯改善」検証
実施機関

大阪歯科大学

調査概要
  • @ 三重県下の某小学校の児童を対象に、毎給食後にPOs-Ca成分を配合したガムを2粒5分間噛んでもらうことを1年間以上継続。
  • A 1年経過後、調査開始時と1年後の口の中の状態を比較。むし歯の発生状況や初期むし歯の変化を追跡調査する。

POs-Ca成分を配合したガムが初期むし歯の再石灰化を促す効果あることを確認するために、大阪歯科大学と共同で、小学生を対象にした歯科調査研究が行われている。小学生に、給食後にPOs-Ca成分を配合したガムを2粒5分間噛んでもらうことを1年間継続。口腔内の状態の変化を追跡調査した。

その結果、1年経過後には、口の中の酸を中和させてむし歯になりにくくする「だ液力=緩衝能」が高くなっていることが判明。また、エナメル質の再結晶化が進み、初期むし歯が改善されたケースも確認された。

1年前の初期むし歯の歯 1年後の初期むし歯の歯

※赤丸で囲った中の黒く見える部位が初期むし歯

口腔内の唾液「緩衝能」の変化