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4.再石灰化は再結晶化?SPring-8での検証|4-5.初期むし歯の再結晶化の測定結果

人工的に初期むし歯を作ったエナメル質ブロックにX線を照射し、健全歯部位、脱灰部位、およびリン酸化オリゴ糖カルシウムによる再石灰化部位の結晶状態をそれぞれ解析しました。
その結果、主に以下の2点が明らかとなりました。

  • 脱灰部はミネラルが原子単位ではなく、ハイドロキシアパタイト結晶単位として失われていること
  • 再石灰化部はミネラル量と同様にハイドロキシアパタイト結晶量の回復が観察され、
    しかも健全な歯と同じ結晶の並び(配向性)を有していること

つまり、見た目では穴が観察されない初期むし歯において、エナメル質表層下では単にカルシウムやリン酸のミネラル成分が失われるのではなく、
エナメル質の約9割以上を構成しているハイドロキシアパタイト結晶の単位ごとで失われ、ナノ〜ミクロサイズのすき間が生じていることがわかりました。

さらにリン酸化オリゴ糖カルシウムを用いて再石灰化した再石灰化部では、元の健康な歯と同じ秩序だった結晶の並びを持つハイドロキシアパタイト結晶として回復していることを定量的に確認しました。また、結晶量の変化は、従来法であるTMR法で観察したミネラル変化量の変化傾向と相関があることがわかりました。

再結晶化のイメージ図

再結晶化のイメージ図

実験結果 TMR解析、広角エックス線解析、小角エックス線解析の結果により、歯のエナメル質はハイドロキシアパタイトの結晶単位で失われ(脱灰)、結晶単位で再構築(再結晶化)されていることがわかりました。

Link:
江崎グリコニュースリリース(2009年4月16日付)
SPring-8(スプリング 8)の高輝度X線を用いて原子レベルで構造を観察。

リン酸化オリゴ糖カルシウムによる初期う蝕歯の再結晶化を証明。
〜再石灰化部でハイドロキシアパタイト結晶が健康な歯と同じ秩序だった構造で復元〜

Link:
江崎グリコニュースリリース(2010年12月2日付)
「ひょうごSPring-8賞」を受賞しました。

大型放射光施設「SPring-8」を利用してすぐれた研究成果をあげた研究者に贈られる「ひょうごSPring-8賞」の平成22年度受賞者に、リン酸化オリゴ糖カルシウム研究チームの研究員が選ばれました。

こうした歯の結晶構造の変化を詳細かつ定量的に捉えた研究報告は、食品科学分野では世界で初めてであり、国内外の学会や科学誌で発表いたしました。
近年、QOL の高い生活を高齢になっても維持するためには、歯の健康を維持することが重要であることが知られてきており、厚生労働省「 8020 運動 」のような取り組みが展開されています。
このような背景から、本研究成果が生活者の歯の健康に寄与できる研究であることが高く評価され、今回の受賞となったと考えています。

NEXT5-1.より効果的な再石灰化方法の検討
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