2.ふれあい保育の実際(4)

お母さんたちの感想です。「タッチケアを開始するまでは、初めての子どもで、また未熟児であったため、小さい子どもに触れるのが怖くて自信がありませんでしたが、子どもとふれあう時間が短い私たち夫婦にとって、親子3人の心が通じ合う、何かホッとする時間です。回数は少なかったのですが、子どもの表情が変わっていく様子がわかりました。子どもの笑顔を見ると、私たち夫婦にとっても心安らぐ時間です」。

「26週で生まれて、保育器の我が子を見て罪悪感で涙しか出ませんでした。抱くことも母乳をやることもできず、できることは触れることだけでした。しかし、自分と赤ちゃんとの距離が縮められた感じがして、気持ちよさそうな我が子を見て、とてもうれしく、これからも続けていこうと思いました」。罪悪感がある、早産してしまったお母さんへの唯一の救いです。このようにお母さんたちは話してくれました。

もちろんコントロールスタディをしたいとも思ったのですが、半分の赤ちゃんたちは、タッチケアをして丁寧にかわいがってみました、あと半分の子は冷たくしてみましたという研究はできませんので、せめてこのお母さんたちの経験の、「とてもよかった」という思いが、皆さんにプレゼンできる最大の結果かと思います。

そうしているうちに、新生児センターに入院することなく、健康に生まれた赤ちゃんたちの健診のときに、タッチケアの講習を行う施設ができてきました。各家庭の子どもがだんだん少なくなってきましたので、一人一人の我が子にもう少し積極的にかかわろう、我が子にとって、もっといいことをしてあげたいという思いも実現することができたかもしれません。複数の親子が集まり、お母さんと子どもが孤立せずに済む機会でもあったでしょう。