1.安らぎの物質オキシトシン(4)

次の図は、「行動にあらわれるオキシトシン注射の効果」です【図5】

図5のイメージ

ラットにオキシトシンを注射しますと、仲間同士が仲良くなるとか、痛みの閾値が上がるとか、いろいろな効果があることがわかっております。そのことがこの図に記載されております。

タッチケアの皮膚からの刺激が視床下部のオキシトシン分泌細胞(二種類)に至って、オキシトシンの分泌を調節しています。

次は、マッサージの効果です。

大人がマッサージを受けると、血圧、心拍数、ストレスホルモン値が低下し、健康を増進します。子どもがマッサージを受けますと、落ち着きが増し、対人的に成熟し、攻撃性が減少します。やさしく包み込むようなマッサージをすると、早産児の体重が増えるということになっております。

「オキシトシンと人間関係」ですが、タッチは動物においてオキシトシンの放出を引き起こします。人間でも恐らく同じことが起こっているのでしょう。オキシトシンの放出は、人と人との間、とりわけ母と子の間の感情的な絆を形成します。良好な人間関係は健康にとっても重要です。それが顕著なのは、乳がんなどの病気の人で親しい人間関係を持っている人は、そうではない人に比べて生存が長いことがわかっております。

「快いタッチの効果」ですが1分間に40回の割合で快いタッチを行いますと、ラットの実験では、血圧が低下し、痛みの閾値が上昇し、ストレスホルモンが低下し、お互いに成長が促進するとか、他者との相互関係のかかわりが増加するとか、学習能力が向上する等がわかっております。

「授乳におけるオキシトシンの役割」ですが授乳中は乳の排出を促進するプロラクチンの分泌を促進することによって、乳の産生を促進します。それから、乳を吸っている子どもを温められるよう、母体の体温が上昇します。母親の血圧とストレスホルモンが下がります。オキシトシンの血中濃度に比例して、ほとんどの女性は、授乳している間は安らぎを感じております。