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財団法人母子健康協会 第31回シンポジウム 「保育園・幼稚園における感染症と対応」
4.総合討論(1)

前川皆様からのたくさんの質問をいただきました。内容が重複しているところがありますので、それをまとめて、できるだけわかりやすくやりたいと思います。
最初に、佐藤先生に名指しの質問がありますので、佐藤先生からまず答えていただきます。

佐藤皆さん、本当に質問をたくさんいただいて、ありがとうございます。私も実際にそういう部分で日頃考えたり、どうしようかなと思っていることがたくさん挙がっていたと思います。「ああ、そうですか!」というお返事ができないかもしれませんが、でき得る限りお答えしていきたいと思いますので、まず、私のほうへ来た質問から始めさせていただきます。

手洗いについて、「ゼロ歳の手洗いについて教えてください」という質問がありました。足立区の中でも看護師会などでよく話すことですけれども、「どうしていますか」というと、やはりさまざまです。手を洗ってきれいにすることが、ハイハイしている赤ちゃんから、歩けるようになって普通のご飯が食べられるようになるゼロ歳児保育の中で、どのようにとらえるべきかということで、それぞれの園が対応していることだと思います。

これは私の考えなのですが、ゼロ歳児の保育室というと、室内の清掃、おもちゃ、そのほか、いろいろな面での衛生管理というのは1歳以上室のお部屋より厳重にされているところが多いと思います。

ハイハイやつかまり立ちをして、いろいろなおもちゃなどをなめたりして遊ぶ時期の、その手をどうするのか。もちろん、汚れていたり、食事前はきれいにすることが大切です。ゼロ歳から手洗いを始めるということは、「手を洗おう」という意識を持たせるための練習として行っています。

そして、どのぐらいの時期に、どのような目的で手を洗っていくかということを話し合いながら行います。保育の中での感染予防ですので、感染予防があって保育をするのではないということでは、必ず保育士さんと、子どもの成長・発達の中でどのようにとらえて衛生管理をしていくか、ということを話し合うことが大切だと思います。

そのほか、「感染性胃腸炎などの消毒方法」の質問が何点かありました。それで、先ほどから挙げられていますこのガイドラインを、園で使われていらっしゃいますでしょうか。

消毒薬の種類と用途

この中に実は基本的な事が書かれています。さらに、このガイドラインをつくるときに、感染性胃腸炎、ノロやロタウイルスによる感染力が強く、症状が重いということが問題とされていたので、そのことについてしっかり書かれています。ページはガイドラインの13ページです。「消毒方法」、「保育所における具体的な感染拡大防止策」ということで載っています。

それから、目にされたことがあるかもしれないのですが、東京都の社会福祉施設における消毒方法などそういうものを調べてみると、いま、随分いろいろな機関で研究されています。例えば吐物の処理の仕方は、吐物を広げなように、拭き、中央に集めて、直ちに拾い集めましょうとか、具体的な方法がたくさん載っています。

ですから、そのようなことを参考に、いま、保育園・幼稚園でされていることと照らし合わせて、もう少し強化したほうがいいかなと思うことがあれば、それにのっとってされるといいのではないかと思います。

もう一つは、おもちゃの拭き方、嘔吐物の具体的な消毒方法についても、ガイドラインに載っています。ページ数だけ申し上げますと、15ページ、16ページ。このガイドラインは厚生労働省のホームページからダウンロードできます。この部分は私も一緒に話し合いに参加しましたので、参考にしていただければと思います。

それから、「マスクの話」が出ました。日頃私は皆様と同じように聞く立場のほうが多いです。それで、足立区の衛生部の講習会での内容ですが、私が先ほどお話ししたように、利用や活用方法として違う角度で知ったことがあります。それは、マスクは、くしゃみやセキで飛沫するものを防ぎます。さらに鼻水などにたくさんウイルスがついているので、マスクをする事で子ども達が鼻をさわらないだけでも効果があるんだということが挙げられていました。私は、そのことを聞いて、なるほど、そういう使い方もあるんだなと思いました。

次に、「マスクが不衛生ではないか」という質問ですが、管理の仕方がやはり難しいですね。私の経験では、マスクをしている子はずっとマスクをしてもらって、使わない場合には、自分のカバンにしまってもらいます。

質問では3歳〜5歳と書いてあるので、例えば、3歳のそのクラスの成長・発達でその管理ができるか、できないか、マスクはどのような点で有効性があるかという事のを保育士さんと話し合いながら、進めていく事が大切だと思います。

それから、「健康カードを今年も使っていますか」という質問がありました。健康カードのことは具体的に話せなかったので、補足ができてよかったです。

健康カードを使った目的は、「新型インフルエンザが発生するかもしれない」ということが念頭にあります。どのような症状で、子どもたちの体に影響を及ぼすかということがわからなかったために、毎日、体調のことを確認することにしました。昨シーズンが終わって、各機関で、通常のインフルエンザとほぼ同じような形の病気の重さですという話になったと思います。ですから、今シーズンは普通のインフルエンザと同じみなし方で対応していますので、使っていません。

(健康カードを提示して)これが実際使ったものですけれども、後ろに「保護者へのお願い」というのがあります。内容は、足立区や発熱センター、夜間は厚生労働省の相談窓口などの連絡先が裏面になり、表のほうを健康カードとして、土曜日も日曜日も記入していただけるようにお願いしました。結果としては、保護者の方の協力により、登園のときだけ書いてくださった方もいますが、多くの方が、これを記録表として土日も含めて書いてくださいました。

保育士さんと話をし合いつけ加えたのは、夏季は、プールに入れる、入れないという項目を入れ、その期間はプールカードとして使えるようにしました。既存のプールカードは保護者の方も知っていますので、似たような形にして毎年使える工夫をしました。

もう一つ、手袋の使い方や、感染予防対策について、「職員への周知の仕方はどうしていますか」という話ですけれども、それについては皆さん本当にご苦労があるのではないかと思います。保育園や幼稚園の中では、いろいろな職種の皆さんに伝えなければいけないことがあると思います。一律にお願いをしていることは、人から人へうつる可能性がある感染症について、接触があろうと思われる職員の方には、同じように皆さんに時間をつくって説明する機会を設けています。

さらに、その場で行っていることが間違っていれば、「その前に手袋はずして下さい。」などの話をしながら日々を過ごしています。このような答えになってしまって申し訳ないです。画期的な、「うちの園はこういうことをしています」という事があれば、皆さんにも聞きたいと思いますので、ご意見があればお話ししていただければと思います。

私への質問はこのくらいのようですので、続いて、先生方への質問になります。私のほうで読み上げまして先生方にお答えいただくようにしますが、たくさんありますので、なるべく皆さんのご質問に答えが返るようにさせていただきたいと思います。

それから、今日いただいた質問のほかに、事前に皆さんからいただいた質問についても先生方と一緒に拝見しております。それで、いま目を通した中では、ほぼ同じような内容になっている項目もありましたので、事前に質問された方は、そのあたりを意識しながらお聞きになっていただければと思います。

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