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温かい心を育むために

東京女子医科大学 医学部長 大澤真木子先生

お子さんと一緒に育ち、育てる親子関係

お母さんと子供は経験を共有し、影響しあいながら、お互いに知識や経験を深めながら成長しています。これを「母子相互作用」と言います。前述したように、母性は先天的に備わっているものというよりも、妊娠中や出産後の赤ちゃんとの関わりを通して形成されていきます。その意味でお産直後からお母さんとお子さんとの関わりを深めることが大切なのです。時には、完璧なお掃除、完璧な食事の支度を求めるためにお子さんと遊ぶ時間がないとおっしゃる方や、すぐに要求に応じていたら我儘に成るので躾のため放っておきますという方が居られますが、たとえ、家の中が多少散らかっていても、食事が手抜きでも、乳児期にはお母さんがしっかりとお子さんと向かい合っていくことが重要なのです。相互作用で、お互いの密接な愛情が育っていきます。そうすると、お子さんが必要な時に、子供の要求に応じてパッと手が出せるようになりますし、お子さんも大好きなお母さんの言うことを聞けるように成って行きます。

診察に見えた時に、お子さんが脱いだものをすぐに手を出して受けとったり、必要に応じてお子さんが自主的に動くための適切な介助をされるお母さんがおられます。一方、お子さんが一生懸命苦労して脱いでいるのに、黙って座っておられるだけで、ほとんど介助されない場合が有ります。「お子さんにとって必要なことがみえる」というのはとても大切です。知識をお持ちでなくとも、実際にお子さんが必要としているときに手が出せてサポートできるのは、お子さんと向き合っている間に、自然にお母さんの中に育ってきたケアと心の感性であります。昔から「手当て」という言葉が有りますが、指示するのみではなく必要なときに、温かい手をさしのべられるというのはとても素晴らしい事です。

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