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特集 「子どもたちをタバコから守るために」

静岡市保健所長 加治正行先生

母乳とタバコ

図3

妊娠中はがんばって禁煙できていた女性でも、出産後再び吸い始める人が少なくありません。

タバコと母乳栄養との関連では、喫煙していると母乳の分泌量が減ることがわかっています。しかも、ニコチンが母乳に混じります。ニコチン入りの母乳を飲まされた赤ちゃんでは、不機嫌、不眠、嘔吐、下痢など、急性ニコチン中毒の症状が出ることがあります。(余談ですが、そもそもニコチンとは、青酸カリの5分の1〜10分の1の量で人を殺せる猛毒です。そのため、赤ちゃんが誤ってタバコを食べる事故が大きな問題になるのです。)

喫煙している母親が母乳を与えてもよいのかどうか、議論になることがありますが、現在では母乳栄養のメリットが大きいことを考慮して、たとえ母親が喫煙していても、母乳栄養を続けることが推奨されています。

ただし、タバコを吸った直後は母乳中のニコチン濃度が非常に高くなるため(母体血液中の濃度の2〜3倍)、喫煙直後の授乳は避けなければなりません。タバコを吸い終わってから3時間程度経つと、母乳中のニコチン濃度はかなり低下することがわかっています(図3)。授乳中の母親も妊婦と同様、禁煙すべきであることは言うまでもありませんが、どうしても禁煙できない場合は、タバコを吸い終わって3時間以上経ってから授乳するように配慮することが現実的と考えられます。

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