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第25回 母子健康協会シンポジウム 保育と食育
3.食の問題行動と対応
国立保健医療科学院研修企画部長 加藤 則子



厚生労働省食育検討会


 本当に上っ面しかご説明できませんけれども、食育検討会の報告書で最も面白いと思った点、重要だと思う点だけご紹介します。
 「楽しく食べる」というのが食育検討会の最大の結論でした。「楽しく食べる」というのは非常に難しい、抽象的な言葉ですけれども、幾つか面白い話題が出ましたので、簡単に触れます。好き嫌いする子どもに対して食べ物に興味を持たせるためには、プロセス主義‥…例えば食農教育とか、園芸体験。ピーマンとかナスを食べられない子どもも、畑で自分がつくると、それは食べるとか、あるいは、イワシの天ぷらを食べない子どもでも、イワシを自分でさばいて自分で揚げれば食べるとか、そういったことがあります。それは一つのごまかしにすぎないかもしれませんが、子どもは、自分のつくったものとか、自分でこれができたという満足感とか、そういうのに支えられてそういった食行動を起こすということは、注目できることではないかと議論されました。
 朝食も、親子でつくると目が覚めて食べられるという恐ろしい議論が出たほか、排便教育、ちゃんとウンチが出れば朝ご飯が食べられるという視点もあることをちょっと考えておきましょう。
 それから、ぜひ触れたい点が、手づくりについての意識や知識が少ない親が大変多いです。缶詰をそのままお弁当に持ってきたり、すごく多いです。
 そういったときにどうしているかという保育所の先生のご発言でちょっと印象的だったのは、最初の頃は、遠足の日だったのですが、「缶詰だけでお弁当に持ってきちゃだめじゃない」と、頭ごなしに怒っていたけれども、それではだめだと思ったときに、缶詰だけ持ってきた子どもに、出発の前に保育所で缶を開けて、そこら辺にあった密封容器に缶詰の中身を詰めて、さらにバランスがいいように、その辺にある野菜とか果物とか、穀類とか、ご飯類とか、そういうのを上手に詰めて、それをデジカメで撮って持っていってもらった。それで遠足から帰ってきたときに、そのお母さんに、「缶詰を持ってきてくださってありがとう。その缶詰をこうやってお弁当に詰めて、それをこうやってバランスよくいいお弁当にして、みんなと一緒に楽しく食べましたよ」と、写真をプリントして連絡帳に張って返してあげた。そういう話を紹介してくださいまして、ああ、なるほど、こういうふうにお母さんというのは、「缶詰だけじゃだめだ」と言っても、どうしたらいいのかわからないわけです。そこで具体的に、「こうやってこういうふうに食べさせてあげるんですよ」まで示してあげると、「ああそうか」というふうに気づくし、また、どうすればいいかがわかるんだというお話を伺ったのはとても印象的でした。




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