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子どもの病気にステロイドを使うといわれたとき
山口大学医学部生殖・発達・感染医科学講座 小児科学教授 古川 漸



 内分泌の病気、ショック、膠原病、アレルギー性の病気など、一般的な治療ではなおりにくい子どもの病気にステロイド薬を使うといわれたとき、こわい薬だという印象から、身構えてしまう事があるかと思います。ステロイド薬はさまざまな病気の治療に有効で、医師はこの薬を注意して使っています。ステロイド薬のことを十分に理解して子どもの病気に取り組めば、決してこわい薬ではありません。すぐれた効き目と副作用が同居していることから、ステロイド薬は古くから諸刃の剣といわれてきました。有効性を最大限にひきだしつつ、副作用を最小限にするように使用します。ステロイド薬は、現在の医療にとって欠かすことのできないすぐれた治療薬で、適切な使い方が大切です。

1 ステロイド薬とは


 ステロイド薬の成分は、グルココルチコイドという物質です。グルココルチコイドはさまざまな作用を持つ重要なホルモンで、体内の副腎皮質(腎臓の上にある小さな臓器という場所で作られます。この物質をつくりだすシステムは脳で調節されています。脳のなかの視床下部から下垂体へ、さらに下垂体から副腎皮質へと信号が伝わり、副腎皮質でグルココルチコイドがつくられるのです(図1)。
 そのグルココルチコイドが過剰になると、逆に、脳のなかの視床下部と下垂体から出る信号を抑制する信号が伝わり、副腎皮質でつくられるグルココルチコイドが減ります。このように、必要なグルココルチコイドがいつも一定に保たれるように調節されています。
 体にストレスがかかった時や手術を受ける時などには、グルココルチコイドがいつもよりたくさん必要となるため、体内でつくられるグルココルチコイドの量が増加します。この調節のしくみは子どもとおとなで差はありません。子どもの血液中のグルココルチコイド(コルチゾール)値は、年齢によって多少異なりますが、おとなと大きな差はありません。
(図1)



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